楽しさの不気味さ

 不平等な暴力や暴力的な不平等は、文化・規範・社会状況と呼応する。つまり、場所を越境してグローバルに遍在しつつも、その質や量は特異性を有する。たとえば、コロナ禍でDVや性暴力が増えた。国や地域、洋の東西によって濃淡はあるとはいえ、現在の世界はポストフェミニズム的な状況とは決していえない。現代においても文化・社会を越えて、それでいて固有の、男性優位主義・ミソジニーが遍在している。

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 女性に対する暴力の背景には、性欲ではなく(あるいはそれ以上に)支配欲・加害欲がある。そして、ホモソーシャル内で「嬉しいまなざし」を向けられることへの強迫的な願望があるのではないかと思う。たとえば私は新卒で入った会社。新規会員獲得が他の社員が3人ほどのところ30人獲得していたら店長が私に「〇〇、メンバー獲得うまい奴はナンパも上手いんだぞ!だから引き続き頑張れ」と言う。また、彼はが来店した元同僚にフロアで大声で「最近も触ってる?おがさわりさん!」と繰り返し言い続け、私に彼を紹介する。そして40歳過ぎの中年男性社員同士で、この場にいない20歳の女性部下のことを「ねえ〇〇のことビンタしていいすか?」と執拗に言う。

 そんなふうに下の立場の人間や他者に仕事中に中指を立てるなんてやめて、自分や内集団に中指を立てようとしてみる。