朝礼で、「営業会議資料を各階のレジに置いておいたから読んでおくように」と店長が話した。上期の方針についての会議のレジメ。今後の担当者が一行ずつ列挙してあった。方針や配属や担当が書いてある紙には、こう記載されていた。
EC施策◯◯さん
VMD施策◯◯さん
インバウンド施策◯◯さん(在日)
①ルーツ/人種/エスニシティを根拠に(あるいはそれに紐付けながら)社員をある役割(インバウンド施策)に上から割り当てる。②しかもそれが、会社の重役たちが集まった、社内で最も大きくて公的な場でされている。
③そして、議事録のなかでその人の当該の属性だけわざわざ括弧書きされている。④そして、それを勝手に詳らかにしている(「そもそも本人の了承を得ずに個人情報を曝露することはパワーハラスメント」;森山、2023)。⑤そして、それがその人の/特定の苗字と並列に書いてある。⑥しかもそれが、陰口などでさえなく、プリントされた資料であり、⑦あまつさえ、「みんな読んでおくように」という指示のもと、客からさえ見える各店舗各レジに置かれる。
差別的な意図を持たずに行った行為でも、差別的な効果をもたらすのであればそれは差別(貴堂、2023)だ。意図を伝えまくるまえに、相手に与えた影響を遮らずに聴くことだと思う。お互いの二枚舌を複雑に絡め合う空間では、業績も心も回復しない気がした。
どうせ全て証拠とやらありきなのだから、写真を撮っておけば良かった(というかどうしてハラスメントやいじめに対応するときだけ、「物的証拠をこの目で見てない情報は一切信じることができず話をできない」というスタンスになるのか)。戸惑いを列挙すると却って針小棒大な印象を与えるのかもしれない。でもとにかく何重にもヤバイと感じた。
【参考・引用】
貴堂嘉之(監修)・一橋大学社会学部貴堂ゼミ生・院ゼミ生有志(著) (2023) 大学生がレイシズムに向き合って考えてみたー差別の「いまを読み解くための入門書」ー
森山至貴(2023). 10代から知っておきたい女性を閉じこめる「ずるい言葉」WAVE出版