いじめをやめる勇気を出してみよう

 仕事中に新入社員に何度も「部屋汚いでしょ?」「お前変わってんね」「クリップってはさめる?」「掃除機って使ったことある?」「ガリガリじゃん?吐くまで食べたら?」、何度否定して「そうやってどもるけどモテるためわざとなんでしょ?」と言うことも、「おいお前!」と呼び止めて「ほんとガリガリだな、こんくらいしかしかないじゃん」、「男なんだからいっぱい食べてきなよ!ダメよ!」などと延々と複数人で言うことも君たちの給料に含まれ、言われることも私たちの給料に含まれるのか。ボディポジティブの大事さを喧伝してたから、それに感銘を受け、体へのからかいをなくしたい。そう話して受かって、働き始めた。

 ジェンダーが後天的に構築され、可変的なものであるならば、それをするしないという選択ができるはず(三橋、2023)。自分の行動を変えてみたいな、これってよくないのかな、と考えてみよう。

mlkt.hatenadiary.jp

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 これを伝えれば、悪人Aは20歳下の女性社員を指して「彼女はイジられたがりだからねえ」「お笑い芸人だってイジられて喜ぶでしょ」と言っていた。とにかくまず、彼女はお笑い芸人ではない。一社員だ。そして、本人が喜んでいるかはわからないし、イジられたがりかもわからない。仮にそうだとしても、圧倒的に上の人間が集団でするものでは明かにないし、その「喜び」とやらは内在化・適応かもしれない。本人がどう思っていようが行動としておかしく、本人が喜んでいたらまずヒアリングして、上司の義務としてさとそう。そして当該の(セクハラを正当化するために創造された架空の)お笑い芸人だってイジられたがりかはわからない。仮にそうだとしてもそれは内在化かもしれない。自己決定という発想は、本人の意志だということにして他者の責任ではなくすための符牒じゃない。

 集団の中年男性で数十歳下の人間をいじめるをやめようかなと、せめて一生で数分は思ってみよう。私は少しでも思っていこう。

 

【引用・参考】

三橋順子(2023). これからの時代を生き抜くためのジェンダー&セクシュアリティ論入門 辰巳出版