ビートルズの逆襲: 2001年の評価と時代性

 「KAWADE夢ムック“特集ザ・ビートルズビートルズの逆襲ー”」というムックを読んでる。ビートルズアンソロジーがひと通り出て、ベストアルバム「ビートルズ1」が出た2001年発行のムック本。いま(2024年)は、ビートルズの50周年記念盤が順番に出ているくらいだから、ビートルズを「再評価する」とか「あえて聴く」とか「むしろいい」とか「逆にいい」みたいなことはとうに超えているタイミングにあるように思う。「流行は20年で一周する」どころじゃなく、もう「何周め」とかではない時代性。文化的象徴とさえいえると思う。

 この本が出た2001年はどういう評価のタイミングだったんだろう。上記の公式ブートレッグとベストアルバムのリリースがあった折、「だからこそもっと再評価していこうよ!」ということなのか、そういう気運が充分あったからこそのそれらのリリースラッシュだったのか。なにしろ、サブタイトルが「ビートルズの逆襲」。どういう含意なんだろう。寄稿者(や語り下ろしの出演者)はほとんど全員が、リアルタイムかギリギリリアルタイムの中年から中高年の男性。完全な後追いの若者が登場している誌面ではない。

 サブタイトルと同じ「ビートルズの逆襲」という特集ページがある。これは、「ビートルズのおろかなホーム・ムービー」「ビートルズと同じ勲章なんてお返しします」といった、「ビートルズの活動当時に起こったビートルズ嫌いとそれに対するビートルズの逆襲」を記した各章(ビートルズ嫌いの文章ではなく)だ。こうしたページにこのムック発行時の、「ビートルズを21世紀につなごう、再評価しよう」という時代感が感じられる。